醸造学と欠陥臭回避の基礎講座

2018.3.26

本日は、朝イチの北陸新幹線あさま603号で長野に向かい、長野県工業技術センター様の依頼で新規ワイナリー起業者の方々にワイン醸造学と欠陥臭回避の基礎を講義させていただきました。
Oenology Evangelist(ワイン醸造学エヴァンジェリスト)として、複雑難解のように思えるワイン醸造学を噛み砕いて伝える伝道師の様なライフワークの一つです。
構造改革特別区域法、総合特別区域法により、従来までのワイナリー設立のハードルが国際基準と比較して高かったものを、規制緩和により新たな参入者の方々に対して門戸を開いた結果、過去3年間で計60場、また昨年度を合わせると膨大な数の新規ワイナリーが誕生しています。
この規制緩和政策を色々と言われる方も居るでしょうが、その背景には行政同様、先輩格である我々にもなんらかしらサポートする期待があったことは否めないと考え、その上で為すべくことを果たすべきでしょう。
かつてのナパヴァレーがそうであったように、アクセスできる範囲内にワイン文化が育つと、ワインは一層身近なものになり市場は活性化するはずです。
そうした中で、肝心なのは業界の先行者が後発で参入される方々をサポートし、新たに起業される方々は、そのサポートに沿って先ず健全な品質を確立することだと信じています。
かつては、赤ワインの卵白ファイニングを行う際に、角の立つメレンゲを拵えて添加し沈まなかったり、ゴッテリと酵母の古い世代の滓の上でシュール・リーして、ワインが臭くなり失敗された先輩格の方も高畠ワイナリーを含め少なくありません。
更には、今をときめく業界を牽引する大手生産者も、輸出用のバーベキューソースに添加するためのワインを、メチャ輸入関税が高い中で暗中模索し国内で限りある情報の中で手探りして起業したり、甘口が主流の中で辛口を造り経営陣と摩擦を起こしたりなど、みんな最初はビギナーだったはずなんです。
あの頃にもう一度立ち返って、これからワイナリーを起こす方々をサポートすれば、多分ひとつだけ言い切れることは、彼らは我々が辿った失敗の回数や時間を、少なくとも遥かに短縮できるはず…
できない理由を挙げ動かざるは、やらない言い訳と見なされるやも知れません!
解り易く、時差と語差のない環境下で膝を分かち合えれば明日は見えるはずですね。

Oenology Evangelist
Hisa VINHIFI KAWABE

エノリューション

代表の川邉久之は、カリフォルニア、ナパバレーにて15年間ワイン醸造に携わり、国内ワイナリーのコンサルタント、醸造責任者を経てワイン醸造技術士として独立。日米30年以上のワイン醸造経験を生かしたワインに関わる問題解決と発展を使命として活動中。

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