千葉 佐原の「最上白味醂」


本格的な冬を迎えた12月初旬、水郷の街、佐原で訪れた(株)馬場本店酒造さまの「最上白味醂」に出逢い上品なコクを感じる甘味に至極の気持ちになりました。


今日は、そんな味醂とお酒の関係を書いていこうと思います。


味醂の製法を簡単に述べますと、まず蒸したモチ米と米こうじを混ぜて糖化してモチ米のデンプンをブドウ糖に分解することで甘くします。この辺りは甘酒と似ていますね。そして、そこに焼酎を加えてお酒にします。


簡単に言いますと、コウジの発酵パワーでできた甘味をベースにした混成酒(リキュール)とも言え、江戸時代はもとより20世紀になっても飲用として飲まれていたようで。特に江戸時代は普通のお酒より高価な贅沢品だったようです。


江戸の終りには、味醂を煮切ってアルコールを蒸発して甘味調味料として用い、ウナギの蒲焼きのタレや蕎麦つゆにする技法が考えられました。アルコールを含むお酒としての味醂は、その性質から保存の利く甘味料としても重宝されました。


また、味醂には米こうじの発酵パワーでモチ米が糖化されるときに、ビタミンB群のパントテン酸、チアミン、ビオチン、またアミノ酸のグルタミン酸、アスパラギン酸なども含まれています。このため、上方では「柳陰」、江戸では「本直し」と呼ばれる味醂と焼酎を半々に混ぜた“カクテル”は井戸で冷やして飲む暑気払いの酒文化です。この辺りは、落語の「青菜」にも登場するので、ご興味ある方はどうぞ!


ほっこりする味の味醂ですが、同じ米こうじの発酵パワーでつくられた甘酒の季語が夏であるように、美味しい味以外に体に優しい性質が夏バテから人々を救っているんですね。


そして、佐原の旅の終りは、「うなぎの山田」で鰻重をいただきました。もちろんタレには馬場本店酒造の「最上白味醂」がシッカリ使われています。水郷と発酵の街、佐原の旅を締めくくるには絶妙のご褒美だったことは説明するまでもありません。


夏になったら、上方落語の「青菜」を観ながら浴衣姿で「柳陰」で涼みたいものです。


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エノリューション

代表の川邉久之は、カリフォルニア、ナパバレーにて15年間ワイン醸造に携わり、国内ワイナリーのコンサルタント、醸造責任者を経てワイン醸造技術士として独立。日米30年以上のワイン醸造経験を生かしたワインに関わる問題解決と発展を使命として活動中。

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