塩尻ワイン大学オンラインセミナー報告
2020年11月12日に塩尻ワイン大学・特別講座Vol.3「壜内二次への手掛かり足掛かり;身の丈で造る方法」 をオンラインにて行いました。
長野県塩尻市主催の新規ワイナリー起業支援プログラムである塩尻ワイン大学には、将来のワイン生産者が勉強しています。今回は、その方々に向け、本格的な壜内二次発酵スパークリングワインの醸造に関するセミナーです。
まず、第1章は、「製造の流れ(復習から発展形)~先人の偉業へ敬意 & 未来の実現へ希望~」として、壜内二次発酵(伝統的製法)の工程を6つのパートに区切って、そのパートごとの目的、主役級となる工程の対象、その主役をとりまく状況と危害などを基に、行うべき作業、注意警戒すべきリスクと対応策を共有しました。
多くのワインの教科書では、製造の流れは直線的に述べられ、個々の要点が見えづらいものも多いですが、予め隠れ潜んでいる地雷を想定して、それを踏まないワイン醸造方法はカリフォルニアで勤務していた頃に習得した「HACCP(危害要因重要管理点)的なワイン醸造戦略」が役立ちます。とくに、かつてのカリフォルニアのワイン生産者がそうであったように、これからワイン醸造に踏み出す方々には最適なプログラムの一つでしょう。
加えて、今回は、予めいただいた質問事項をもとに、日本の酒税法における、この複雑な伝統的製法への解釈と対応策、また醸造方法において一般の教科書では載っていない部分への解説も私の実地経験を基に説明しました。
つづく第2章は、スライドの写真と一部の動画を利用して、「身の回りのものから製造設備へ~かつての修道僧の兄弟になろう~」として、専用の醸造設備以外のものを活用した醸造方法の事例を紹介しました。
一般的に、ワイン製造に踏み出そうとすると、専用の醸造設備を準備しないと製造ができないという考えが浸透しているようですが、国内外の実際の醸造場では創意工夫に満ちた多くのアイデアを活用して、身の回りのものでワインを造っている例が少なくありません。
今回は、これから醸造を考えておられる方々を対象に、品質を重視しつつ、初期投資を抑えた方法で本格的な壜内二次発酵を可能にする方法を、海外の事例、私自身の経験も含む日本国内の事例を踏まえて参加者の皆さまと共有しました。
ワイン特区の塩尻市でワイン醸造場を起業する場合は、酒税法で定められている最低製造数量の6,000ℓの三分の一の2,000ℓで製造免許が認可されます。そうしたマイクロ醸造場で、小さいサイズから本格的な壜内二次発酵のスパークリングワインを手作りし、美味しくて付加価値の高い日本ワインが生まれるキッカケを願ったセミナーでした。
参加者の皆さま、本当にありがとうございました。
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