ワイン醸造学セミナー@プレゼンチご報告



11月19日、私の故郷である名古屋にて二つの講演を行いました。


ワイン醸造:添加と工程には意味がある
醸造における添加と工程などの介入、その歴史と未来


そのうちのパート1は、ワイン醸造における添加と工程に関する話しを紐解きました。


今回の参加者の方々は全員がワインをサービスされる飲食に携わっておられるソムリエさんなどのプロで、一通りのワインの知識や造詣は非常に深いものをお持ちです。


そうした方々が普段、疑問に思われたり、またお客様からの質問にあがるような内容を今回は掘下げられるように、造り手の目線から普段目にするワインの教科書には載らない内容をお話いたしました。
 
ワイン造りには様々な工程が関与します。


農産加工業の一つなので当り前ですが、これの起源を遡ると、
①農耕文化の発足による葡萄の栽培で収穫物の安定確保
②葡萄を発酵でワインに換える事による保存
③葡萄から固体と液体を分け、美味しい部分だけを漉す行為
④ワインの醸造、貯蔵、輸送な容器
⑤酒器などを生んだ飲酒文化


以上5つが伴ったと気づけます。
 
今回は、ワインを造りの起源とその背景、そして未来を工程と添加物から解説。
 
工程では、固体と液体を分離する工程の変遷、また樽やタンクなど容器の変遷を話しました。


皆さんから常々もっとも質問の多い添加物では、お客様が最も心配される酸化防止剤の亜流酸のはたらきと人体への影響度、補糖、補酸の背景、清澄化に使用するファイニング剤なども詳しくカバー致しました。


さらには、こうした添加物の現在のトレンドと今後の傾向をワイン醸造の現場からお話し、世界的な動向を見据えた流れまで。
 
また、代表的なワイン醸造法として、ブルゴーニュ地方で行われている「三種の神器」として、


①樽発酵
②シュール・リー
③マロラクティック発酵


という、白ワインと赤ワインに採用される醸造法の解説と、更には他の代表的な技法に関して、起源と現在の事例をお話しました。
 
最後は活発なご質問も頂き、改めてワイン造りとい
うのは、数千年来での若干の進化は時代の変遷でみられるものの、工程の本質は殆ど変わらないことを参加者で共有する事ができました。


昨今のトレンドで無添加や自然派も散見できますが、こうしたことも踏まえてレス・アディティブ(少ない添加物)、レス・プロセス(少ない工程)で最大の美味しさを創出するため、造り、流通、サービスとワインに携わる全員が一枚巌になることの大切さを共感できた貴重なひとときと実感いたしました。


講演の場所を提供くださったプレゼンチ様、また、参加者の皆さま、本当にありがとうございました。

#ワイン #ワイン醸造 #エノログ川邉 

エノリューション

代表の川邉久之は、カリフォルニア、ナパバレーにて15年間ワイン醸造に携わり、国内ワイナリーのコンサルタント、醸造責任者を経てワイン醸造技術士として独立。日米30年以上のワイン醸造経験を生かしたワインに関わる問題解決と発展を使命として活動中。

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