オレンジワイン Part2
さて、前回オレンジワインの説明をさせて頂いた流れで、長野県の楠ワイナリーさんの「デラウェア・オレンジ2018/DELAWARE ORANGE WINE 2018」について書いていきます。
デラウエアは日本ではお馴染みの生食用ブドウで、明治の始めにアメリカのオハイオ州で「自然交雑種(自然に交わってできた植物)」として発見されたブドウです。
発見したジョージ・キャンベル氏の故郷だったオハイオ州デラウエアにちなんで名付けられたそうです。よくデラウエア州産のブドウと間違われますが、この名前自体も「自然交雑種」的です!余談ですが、このジョージ・キャンベル氏は生食ブドウのキャンベル・アーリーを交配した人で、とにかく自分にちなんだ名前を付けるのがお好きだったようです。
デラウエアの皮はグリと呼ばれるピンクっぽい赤色で、グリとは黒色と白色の中間の灰色(グレー)を意味します。赤ブドウを黒ブドウと白ブドウに対して呼ぶ呼び方では、中間色は桃色でなく灰色で表されます。
これより、デラウエアは白ブドウではないので、楠ワイナリーさんのワインはOIVの定義からすると、オレンジワインには当てはまりません。
しかし、その醸造方法もOIVの定義に則ったように、グルジアの伝統的なものではなく、斬新的な方法を採用しています。
それは、デラウエアのブドウを果皮もろとも全量を果汁とコンタクトして発酵させるのではなく、半分の量だけを赤ワインのように果皮や種とともに発酵し、残りのワインは普通の白ワインとして果汁のみを発酵させたものとブレンドすることで、素敵な可愛いオレンジ色を呈するも、果皮の強い苦味を感じず、アールグレイの紅茶を思わす柑橘系の甘い風味を誘うワインに仕上げられているところです。
さらに、2018年産から充分に熟成させて風味を丸くしてから製品化してリリースしているのも目を見張る商品設計です。流石は、オーストラリアでワインを勉強されたオーナーの楠さんが目指すクリーンで果実の香りが前面に出たスタイルが、オリジナリティ溢れる日本ワインならではの新しい“オレンジワイン”を生み出しています。
ブドウの産地を見て驚いたのは「山形県産」、なんとデラウエアの収穫量では日本一を誇る県で、明治の初めにデラウエアが導入されてから100年以上の歴史を誇ります。栽培方法は、日本でお馴染みの棚仕立で、さらに山形県の収穫量の大部分を占める置賜地区では、棚の上部にビニールを被覆した「横開きハウス式栽培」が主流です。そのため、降雨がブドウに当たるのを防げることから、高い糖度も熟度とともに、病果のない健全なブドウを育めます。
オレンジワインのように、ブドウの果皮を果汁などと仕込む場合は、ブドウの健全性が絶対的となります。健全で熟度の高い、山形県産のデラウエアを、あえてオレンジワインとして醸造した楠ワイナリーさんの設計哲学には正に脱帽です。
長年、山形県のデラウエアでワインを造っていた思いも含めて、このワインは、デラウエアの可能性に新たな道標を残した逸品だと感じました。
価格の二段上をいく品質の深さが充分に楽しめた一本だと思います。気になる方は、是非チェックしてみてください。
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