北海道訪問ご報告 Part1


7月8日、9日の2日間に渡り、北海道ワインアカデミー 醸造コース講義に招かれ北海道ワイン関係者の方々と時間を共にする機会を頂きました。


北海道ワインアカデミーは、道産ワイン品質強化研修事業として、北海道庁および北洋銀行が主催し

「北海道内でワイン造りに携わる者に対して、栽培・醸造技術及びマーケティングを中心とした経営力のレベルアップにつながる研修会を開催し、道産ワインの品質向上を図る。」

を目的に、北海道大学および北海道ワイン様に委託され、札幌国税局および道産ワイン懇談会の協力にもと推進される、壮大な規模の事業であり、主に北海道内でワイン事業を起業する方々を栽培、醸造、マーケティング、経営の多岐に渡る面から教育し、道内のワイン事業を活性化するとともに、品質向上を目指すものです。


昨年より醸造の講義を委託されて、ワイン造りにおける衛生管理と健全なワイン醸造で心がける点を中心にセミナーを行なっています。そして、今年も同様の内容に加えて、自然由来の微生物を用いたワイン造りにおけるメリットやデメリットを中心に解説をして欲しいとの依頼に応えて二日間の講義に加わりました。


7月8日の空知管内における実地講義では、午前は山崎ワイナリーと宝水ワイナリー、午後は10Rワイナリーと栗澤ワインズの4カ所の醸造所を訪問し、製造担当者の説明のもと活発な質疑応答が交わされました。


山崎ワイナリー訪問

山崎ワイナリーでは、山﨑太地氏による説明を受けました。


13ヘクタールの広大なブドウ園を4人体制で管理する米国のような高い効率性とそれを可能とするスケール感です。

米国エーカー単位に換算すると13ヘクタールは、32エーカーになり、カリフォルニアのナパヴァレーで勤務していたワイナリーの自社農園とほぼ同じ面積であり、また当時の従業員の人数と比較しても同じ人数なので非常に親しみを持てたのと同時に日本でもこの効率性を出すことができることに改めて感心しました。


山崎氏とは、私が特任講師を勤めさせて頂いた東広島市の(独)酒類総合研究所のワインコースを受講されたときに知り合いました。ご兄弟の亮一さんとともに高いレベルで管理されたワイン醸造を行なわれています。


山崎氏は、こう話してくださいました。

「常に健全なものが問題なく当たり前にできるようにするのが我々のワイン造り」と。

いわばカリフォルニアの新世界でみられるような科学的に管理されたワイン造りを実践されているようです。


ワイナリーの醸造場は、改造を重ねて現在では全ての仕込み作業を2階部分で行えるようにして、落差によるグラヴィティー(重力利用)方式を採用され、可能な限りポンプの使用を無くして原料果実の仕込み移動時にダメージを与えない配慮が成されるようになって進化の足跡が確認できます。


又、一方でワイン造りに関連のある活動として、新桂沢ダムの作業用トンネルという温度や振動の影響の少ない環境でワインを熟成する試験を行っており、地域とのリンクで付加価値をもたらしたワイン文化を発信することにも挑み、地ワイン事業の発展で「外貨を得て地域に還元する」という前向きな姿勢を持たれています。


2002年に山崎氏のお父様がワイナリーを始められ、山崎さんご兄弟は、北海道で農家を始めて4代目に当たるそうです。


常に新しい農業のあり方、技術革新に取り組んでおり農家の自立を目指した高付加価値化へのチャレンジそのものがワイナリーの指針とのことです。 


      (写真は、左から山崎氏、川邉、田辺由美先生)


原料、醸造、販売を軸にしたワイン事業の経営の在り方に、

これからの日本ワイン生産者の参考になるものが多いと感じました。



#日本ワイン #山崎ワイナリー #空知エリア #ブドウ園

エノリューション

代表の川邉久之は、カリフォルニア、ナパバレーにて15年間ワイン醸造に携わり、国内ワイナリーのコンサルタント、醸造責任者を経てワイン醸造技術士として独立。日米30年以上のワイン醸造経験を生かしたワインに関わる問題解決と発展を使命として活動中。

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