北海道訪問報告Part 2


宝水ワイナリー

岩見沢市宝水町に位置する宝水ワイナリーは、2004年説膣の家族経営のワイナリーで、9ヘクタールほどの広大なブドウ園がワイナリーの周囲に展開されています。


取締役である久保寺祐己氏が、講師を務めて頂き、原料のハンドリングから醸造さらには壜詰めまで非常に詳しく説明してくださいました。


(久保寺祐己氏)



久保寺氏は、東京バイオテクノロジー専門学校 醸造発酵コース出身の醸造技術に大変明るいワインメーカーで、特に衛生管理に関しては、基本のサニテーションからツール類の細かな洗浄など非常に丁寧に行っているそうです。


それ故に醸造所の中は微生物の臭いが一切せず、非常に清潔な環境を維持していました。


ワイナリーの建物は、北海道小樽市にあった古い倉庫を移築した風格のある木造の建物で、ショップやレストランもアンティーク感が漂う趣の中、醸造所は非常にクリーンな新世界風の環境でした。


久保寺氏は、

「自分の醸造所では自分が寝転がれるほど清潔にしてワインを醸造したい」

そう話すほど、自らを潔癖症と言っていたので、これは非常に感心する姿勢だと映りました。


スパークリングワインの製造においても、壜内二次発酵による伝統的製法を実践しており、その酵母滓を下げるルミアージュから酵母除去のディゴルジュマンまでの工程においても手持ちのツールを巧みに使いこなしており、これは新たにワイナリーを設立する受講生にとって大変参考になるものでした。


宝水ワイナリーのリンクを貼り付けますので、気になる方は是非チェックしてみてください。↓↓↓

10Rワイナリー

午後の1軒目の醸造所は、岩見沢市栗沢町の10Rワイナリーで、オーナーのブルース・ガットラブ氏による詳しい説明と珍しい醸造機器に触れることができました。


ブルース氏は、米国のUCデービスなどで教育を受け、ナパ・ヴァレーのロバート・モンダヴィなどのエノログを務め、日本に渡ってからは栃木県のココ・ファームなどの立ち上げおよび醸造の基盤を築いた方で、日本のワイン醸造界では有名な方です。


(右から2番目の方がブルース氏)


この10Rワイナリーは、カリフォルニアなど海外では知られる「カスタム・クラッシュ(委託ワイン醸造)」を主に請負う事業スタイルでデザインされ、併せてご自身のワイン造りも行うという非常に珍しい趣旨で設立された日本では唯一のワイナリーです。


また、ブルース氏の先進的な考えは、「インキュベーション・ワイナリー(ワイン事業設立者を“培養する”ワイナリー)」という構想で、新しくワイン事業を起業する人たちのワインを委託醸造することで、彼らがスムーズに無理なくワイナリー起業に移行できるよう、ワイン醸造のデザインから経験までを育成する目的の醸造所であるのが特徴的です。


このため、醸造所内は、様々なワイン造りに対応できるように、タンクの酒類も一般的なステンレス鋼から、コンクリートやクヴェブリと呼ばれるグルジア地方の甕を地中に埋設したものから、フレンチオーク樽など様々なオプションが整っていました。


醸造のスタイルは、委託醸造の顧客にフィットさせるのが主体ですが、自然由来の微生物に依存したワイン造りも積極的に行われています。しかし、ブルース氏は、ワイン醸造を科学的に徹底習得していることから、多くのリスクを予め予想し、それらを除去することで安定的に安全なワイン造りを心がけているのが細かな説明で伺えました。


多くの機材の中には、日本では入手が困難なものも散見しましたが、ブルース氏も海外に多くのコネクションがあるので、必要なモノは独自に取り寄せられるというのが、ここの大きなメリットの一つでもあると感じました。




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エノリューション

代表の川邉久之は、カリフォルニア、ナパバレーにて15年間ワイン醸造に携わり、国内ワイナリーのコンサルタント、醸造責任者を経てワイン醸造技術士として独立。日米30年以上のワイン醸造経験を生かしたワインに関わる問題解決と発展を使命として活動中。

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