Japan Wine Competition(日本ワインコンクール)2019 Part3
先日から書かせて頂いておりますテーマ、
‘Japan Wine Competition
(日本ワインコンクール)2019“
も、いよいよラストの投稿です。
早速、昨日からの引き続き本題です。
滓下げや濾過を全く行っていないワインは
時間経過とともにどう変化するのでしょうか?
一般的にワイン中の酵母の細胞は時間の経過
とともに分解してワイン中に溶け込んでゆきます。
酵母という生命体が死んだ後に自らを消化して
自然に戻るという自然界の当たり前と言えば
理解できます。
また、ワイン中の植物性タンパク質は
時間経過とともに変性して見えるようになり、
白ワインでは白濁を生じて
クレームの対象となる場合があります。
また、ワイン中に酵母や乳酸菌などの
微生物が残存し、これらを活性させる
食べ物となる糖分やリンゴ酸などの
不安定成分がワイン中に残っている場合、
ワインを高い温度に放置すると壜内で
酵母や乳酸菌による再発酵が起き、
この微生物が二酸化炭素を生み出し、
その圧力で栓が飛ぶなど、
壜が割れたりする事故が起きる場合があります。
私は、今までの経験で前年に金賞を
受賞したワインで、滓下げや濾過が
余り施されていないワインを1年後に飲んで、
その品質が余りにも劣化し、その時点で
審査したら奨励賞にもならないワインを
少なからずお目にかかった記憶があります。
また、上位入賞のステッカーを貼りながら、
試飲会で注がれたグラスの縁にワインから
沸き立つ炭酸ガスの白い泡のリング
「天使の輪」を覗くことができ、
耳を近づけると「プチプチ」と音がし、
口に含むと微発泡を感じたことは
少なくありません。
日本ワインコンクールの目的の冒頭には
「国産原料ぶどうを使用した
日本ワインの品質と認知度の向上を図る」
という品質と認知度から、前者は製造技術、
後者や営業実績とワイン事業における
二本柱を達成させる大命題が乗っています。
ワイン本来の美味しさを残すために、
滓引きや濾過を行わず風味豊かな品質の
高いワインが上位入賞を果たす反面、
そのワインを購入された方が
数年間熟成を行った後に
“ワインを飲んだ時に、熟成により
品質が向上するか、
はたまた劣化するのか?“
という点においては、
今後の
「如何に巧みにワインを
滓下げや濾過処理を施せるか?」
という、
「工程を廃する是非の判断基準は
中長期的な品質の安定化を基準に行う」
という正しいワイン製造技術が
求められる時代になることになりそうです。
そして、そういった製造背景を審査時点で
風味を利くことから精査して
熟成ポテンシャルをも審査基準に加味できる
審査員で自らはいたいと思っています。
今年の結果で、金賞受賞をされた
“小規模生産者様のワインメーキング”
と“大手生産者様の緻密なワインメーキング”
そのどちらに軍配を上げるかは、
ワインが手元に届き
開けた時の消費者が握っています。
日本ワインのスタイル、クオリティー、
消費携帯、市場環境などを加味して、
本来の風味を剥ぎ取り過ぎることなく、
経時変化による壜内で劣化のリスクが低い
製造方法の共有化が進むことで、
日本ワインはもっと美味しくなると
信じています。
最後までお読み頂きありがとうございました!
川邉 久之
#日本ワイン #日本ワインコンクール2019 #審査基準 #ワインメイキング #金賞受賞 #品質安定 #製造方法 #ワイン酵母 #発酵
0コメント