ロゼワインは難しい? Part1

ロゼワインは難しい? Part1
 
ワインビジネスに就いているなかで、
売るのが難しいワインというジャンルに
直面することがあります。


昨今、世界のワイン市場のジャンルの中で
最も伸びているのがロゼワイン
しかし現実は、日本ではロゼワインを
展開させるのは、冒頭に記したように
難しいというのが私自身の経験であり、
また、多くのワイン関係の知人や業界誌からも伺うことができます。


今回はこのロゼワインについて
少し書きたいと思いますので、
お付き合いください。
 
それまで、売るのが難しいワインの
ジャンルの代表的なものは、
白ワインの辛口というのが長年携わった
中の常識でした。


これは、平成10年に日本のワイン消費が
それまでのなかで最大になった例の


「ポリフェノールによる健康効能の
   赤ワインブーム」


以降は顕著となりましたが、同じく
アメリカで1990年に巻き起こった
テレビ番組「60Minutes」における
「フレンチパラドックス
(フランス人の矛盾)」で赤ワインの
健康効能が紹介された際以降も同様でした。
 
然しながら面白い事実は、私が
カリフォルニアに赴任した1988年の頃、
米国では赤ワインを市場で展開するのは、
簡単なことではなく、逆に多くの生産者は
赤ワインの製造販売に手を焼いていました。


その主立った理由は、高級赤ワインの
スタイルが広く確率されていない
当時の米国では、製造において
樽熟成に年以上の時間を伴い、
更に壜内熟成を要する赤ワインは
ワイナリー経営の資金繰りを圧迫する
とともに、フレッシュ&フルーティーな
飲みやすいワインを好む米国市場では、
一部のワイン通を除いて
浸透しにくいものでした。
 
今では、カリフォルニアの
どのブドウ栽培エリアのワイン原料
ブドウ取引価格でカベルネソーヴィニヨンやメルローなど赤品種はシャルドネなどの
白品種に比べて取引価格は倍近くを
示す貴重な宝石です。


しかし、当時は過剰傾向にあったため、
それを短期的に処分するために
ロゼワイン用原料に“転用”したりして、
またそのロゼワインを造る過程で
発酵が停止し甘口になったものから
偶然生まれた
「甘口の薄い色のロゼワイン」
がホワイトジンファンデルという、
ワインに馴染みの少ない消費者が
好むカリフォルニア特有の
ブラッシュワインを誕生させ、
ブドウ畑で余っている赤品種の
ジンファンデルを抜根改植から
救った事実などは、いかに赤ワインの
製造販売が敬遠されていたかを
物語っています。
 
そして、1990年の赤ワインブームで
市場は一変します。


いままで
「赤ワインは渋い、飲みにくい」
と言っていた米国消費者は、
「私は“メルロット(Merlot)”
   しか飲まない!」
と試飲会でグラスを差し出す消費者が
続出し.当時私の勤務していた
ナパヴァレーの小さなワイナリーは
既にピノ・ノワールのブドウを
シャルドネに抜根改植していたため、
白ワインの辛口しかポートフォリオに
存在していないことからワイナリー経営の
展開において苦慮したことを
記憶しています。
 
日本国内においても同様でした。
日本における赤ワインブームに伴い、
醸造用に仕向けられた代表的な
白ワイン原料ブドウの甲州のトン数は
1999年に示した約8,000トンから
下ってゆき、今ではその半分以下の
約3,500トンと半減しており
白ワインの辛口が実に売りにくい事は
数字が物語っています。


詳しくは、また次回投稿で書いていきます!

#ロゼワイン #日本ワイン #赤ワインブーム #ピノノワール

エノリューション

代表の川邉久之は、カリフォルニア、ナパバレーにて15年間ワイン醸造に携わり、国内ワイナリーのコンサルタント、醸造責任者を経てワイン醸造技術士として独立。日米30年以上のワイン醸造経験を生かしたワインに関わる問題解決と発展を使命として活動中。

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