ロゼワインは難しい? Part3
少し、間が空きましたが
"ロゼワインシリーズ"を引き続き
書かせていただきます。
では、これからがロゼワイン、この赤ワインとも白ワインとも違う
ワインの本質を説明しましょう。
ワイン用原料ブドウには大きく分けて三つの
タイプがあります。
それは果皮が黒系の黒ブドウ、果皮が緑系の
白ブドウ、そして果皮が桃色から紫系の
灰色ブドウです。
この三つのタイプは果皮の色が異なりますが、
ごく僅かな品種を除いて、殆ど全てのブドウは
果肉と果汁は緑系で、液体であるこの果汁のみを
搾汁して発酵すると白ワインになります。
そして、黒ブドウを果汁、果肉、種子とともに
発酵し果皮の色素であるアントシアニンと
呼ばれるポリフェノールが果汁に抽出されると
赤ワインになります。
この赤ワインの赤色の素であるアントシアニンは
水溶性(水に溶けやすい)で、ワインの発酵が
進んでアルコール分が高くなるにつれて
溶けにくくなる性質があります。
このため、赤ワインの製造では発酵の前半から
中盤にかけて発酵中のブドウを容器のなかで
頻度を高く撹拌させるなどして色素の抽出を促し、
色素の抽出が完了した後に搾汁し果皮と
液体の部分を分けて赤ワインに仕上げます。
しかし、黒ブドウを原料にして適度に
桃色の色素が液体に抽出された時に
果皮と液体の部分を分けて、その液体を
白ワインのように発酵したもの、言い換えれば
“中途半端に色素が抽出された赤ワイン”を
“途中から白ワインのように造った”
ワインこそがロゼワインといえます。
つまりロゼワインとは、外観で黒ブドウの果皮
から抽出されたアントシアニンによる桃色を
呈したフルーティーな白ワインとも表現できる
もので、グラスの中で白ワインでは表現すること
ができない優雅な色彩を放ちながらも、
飲み方や食事とのマリアージュを考える時には、
白ワインのそれとほぼ同じように扱うことが
できると考えても良いでしょう。
ただ一つだけ、ロゼワインのもつ成分で
白ワインと異なるのが、黒ブドウの果皮から
抽出されるアントシアニンと呼ばれる
ポリフェノールと、黒ブドウの種子から
僅かながら抽出されるプロアントシアニジンと
呼ばれる同じくポリフェノールです。
このどちらもタンニンという大きなカテゴリーの
なかで括られて、口中では収斂性と呼ばれる
苦味を呈し、一般的にブドウの果汁のみから
造られる白ワインと異なり、口に含んだときに
若干の刺激を感じます。
この、ロゼワイン特有の黒ブドウから抽出する
ポリフェノールは、ロゼワインと食事の
マリアージュにおいて、白ワインでは合せにくい
素材で若干の滋味、苦味、またクセのある
食材をもロゼワインであれば美味しく合せられる
という懐の深さをもたらしてくれます。
代表的な例を挙げると、キノコや季節の山菜、
野趣を感じる川魚、ウナギ、鮭、またカニや
エビなどの甲殻類、サザエや牡蠣など濃厚な
海の幸などです。
その風味自体がもつキャラクターが強すぎる
ものでも、ロゼワインのもつポリフェノールが
放つ収斂性により首尾良く打ち消し合い
絶妙なバランスを演出できます。
世界的にみて、ロゼワインは伸長率が最も
高いジャンルのワインと言われ、その背景には
食事の嗜好性において、従来のように調理の際に
オイルやスパイスの使用を控えることで
素材の旨さを大切にした料理に傾倒します。
淡麗な酒質に移行するなかで、繊細な料理を
邪魔しない白ワインにも似た特性をもち、かつ
白ワインにはない色彩が放つファッション性と
マリアージュにおける選択の広さが
重宝がられているのだと考えます。
そういう見解からすれば、大袈裟かもしれませんが、
無人島に持って行くワインで一本を許されるのならば、
好みのロゼワインというのは間違いではない回答かも知れません。
ロゼワインシリーズは、明日以降も
アップしていきますので、宜しければ
また、覗きに来てください。
#ロゼワイン #マリアージュ #ポリフェノール
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