ロゼワインは難しい?PART 4



ロゼワインシリーズの最終章です。
少し長いですが、お付き合い頂けますよう
お願い致します。
 
最後に、ロゼワインの製法にはいくつかあり、その代表的なものを紹介します。


ロゼワインは、色が桃色であればロゼとなり、
技術的に厳格なルールは存在しません。


一応、EUにおいてはシャンパーニュ地方を除いて、赤ワインと白ワインを混ぜてロゼワインを
造ることは禁止されています。ですが、ロゼの
シャンパーニュが高嶺の花のように珍重される
本家本元のシャンパーニュ地方では、赤ワインと
白ワインを混ぜてロゼのシャンパーニュを造ることが認められているのは誰もが知ることなので、ワイン法という縛りの外では複数の製法でロゼワインはできると考えていいでしょう。 


先ず、最も簡単な製法では、黒ブドウを白ブドウなどと同じく除梗・破砕した後に搾汁して果汁を分離させる際、果皮から抽出した色素が過重に混入し桃色の果汁が得られ、これを発酵することで色の淡いロゼワイン、

別名“ブラッシュワイン”がつくられます。


ブラッシュワインとは桃色より淡く、女性が
頬紅を塗ったような色という意味で米国から
派生した呼び名です。


次に、黒ブドウを除梗・破砕し容器に一昼夜程度保管し、果皮から果汁に色素を抽出させた後に搾汁して果汁を分離し、それを発酵させて造る技法で、先に述べたブラッシュワインに比べて濃い色の桃色を呈したロゼワインとなります。


もう一つは、黒ブドウから赤ワインを造るように、除梗・破砕し容器に移して発酵を開始させ、発酵の序盤である2日目あたりまでで、発酵中のブドウを搾汁して液体の部分を果皮、果肉、種子から
分離し、液体の状態で発酵終了まで発酵させる
技法です。

この方法の他に、できあがった赤ワインやロゼワインに白ワインを混ぜて造る技法なども加えて、ロゼワインの製法として挙げられます。 


これらの異なる方法を比較し、できあがるロゼワインの酒質との因果関係を述べると、黒ブドウの果皮・種子と液体が接触している時間が長いもの、
また接触している際の温度が高いものほど、果皮から抽出されるポリフェノールの量が多くなり桃色の色が濃く、味わいで収斂性を放つ苦味が強いものになる傾向を示します。

その訳は、先にも述べたように、黒ブドウの果皮から抽出されるアントシアニンは水溶性なため、発酵していない果汁においても時間とともに量が上昇すること。また、種子から抽出されるプロアントシアニジンは時間もさることながら、発酵によりアルコールができるとより抽出が促進されロゼワインの味わいに一層の苦味が増すことが共通点として挙げられます。 


ワインの歴史において、白ワインに比べて赤ワインの方が遙かに深いのは、世界のワイン用原料ブドウの殆どが黒ブドウだからです。

これは、本来ブドウという果樹は、熟すと果皮が黒くなり、それが見える巨大な羽をもつ鳥類に果実を食べられ種子を遙か遠くに運んで行ってもらう、大地に根を張り外敵から逃げるため親樹から離れた安全な環境で子孫の残すような仕組みになっています。


その黒ブドウから突然変異で生まれた白ブドウは黒ブドウに比べ圧倒的に少ない訳です。


今日は、一旦ここまでに致します。


明日は、最終章の最終回をお届けしますので宜しければ又、覗きに来てください。

#ロゼワイン #黒ぶどう #ワイン醸造

エノリューション

代表の川邉久之は、カリフォルニア、ナパバレーにて15年間ワイン醸造に携わり、国内ワイナリーのコンサルタント、醸造責任者を経てワイン醸造技術士として独立。日米30年以上のワイン醸造経験を生かしたワインに関わる問題解決と発展を使命として活動中。

0コメント

  • 1000 / 1000