ワインのノーベル賞 クロスフロー沪過 part 3 最終回
さて、今日も引き続きクロスフロー濾過に
関して書いていきます
一般的なろ過ではワインなどろ過される
液体がろ紙などのろ過面に対して垂直に
流れます
そして、ろ過面に対して平行に流れる際に
ろ過されて澄んだワインだけが、ろ過面の
穴を通過して反対側に抜ける仕組み、
いわゆるタンジェンシャルろ過とか
クロスフローろ過と呼ばれるものでした
従来のろ過では、コーヒーのドリップの
ようにろ過面に液体は垂直に流れます
すると、細かいろ過を行う場合は、小さな
固形分がろ過面に空いた穴を塞いで詰まり
ろ過ができなってしまうのです
この様にろ過面の穴が全て塞がると液体の
流れは、どんなに強いポンプで押しても
止まります
液体の流れの末端にろ過面が敷かれている
のは、ろ過の宿命でもありから、酵母など
細かい生き物を除去できる非常に細かい穴を
もつろ過を通す前には、最低二回以上の前段
ろ過を行い、ワインの中に潜む固形分を除去する
必要がありました
この様に、本来の目的は酵母という生き物を
除くために、何度も前段階でろ過する為
だったのにその作業のせいでワインの
美味しい成分が剥ぎ取られてしまいます
よって
「このワインは美味しさを守るために
ろ過していません」
という無ろ過ワインが市場で流行したのも
当然の流れでしょう
そこへタンジェンシャルろ過とか
クロスフローろ過は、ろ過面に対して液体が
平行に流れる仕組みなので、ろ過が目詰まりする
心配がなくなります
更には、たった一回のろ過でワインがキレイに
澄み、酵母を除去できる最終ろ過に通す事を
可能にし、ろ過プロセスを短縮化できたとともに、剥ぎ取られるワインの美味しさが激減したのです
この方式をいち早く採用したのが、
オーストラリア、ニュージーランド、
米国などの新興国のワイン産地です
他のワインろ過システムと組み合わせ、
ろ過のプロセスを最小限に抑え、ろ過処理の
稼働も自動化させることで夜間でも操業できる
ようにしました
こうしたろ過器は醸造機器を製造販売する
各社から世界のワイナリーに送り出され徐々に
主流になりました
ワインのろ過工程が短縮化でき、ワインの
美味しさは最大限保たれ、またろ過における
ワインの欠減が最小限に抑えられるので、
正に夢のろ過システムです
そして、そのろ過システムは多くの異なる
メーカーから製造されました
核心のろ過を行うワインが通るストローの
様な中空子と呼ばれる中が空洞になった
繊維状のものを束ねたものが充填された
パイプには共通の馴染みある文字が
書いてあります
この輝いて見える文字こそ
「ASAHI KASEI」です
そうです、この夢のろ過を実現した立役者は
旭化成さんです!
この次世代の分離機のおかげで世界中の
ワインにおいて瓶詰前はもちろんのこと
大きなコンテナで輸出される前にも
クロスフローろ過で安定させることができます
それにより洋上輸送中でも品質が変性することは
なく、陸揚げ後に別の国で壜詰めされた輸入ワインとして市場に並ぶという、かつてでは不可能なことが簡単に行えるようになりました。
彼らが開発した素材と繊維技術から生まれた
全く新しい、中空糸モジュールこそが様々な
液体から細かい成分を分離するためにつくられた
おかげでワイン品質の向上が可能となりました
また、ワインのみならず清酒でも生酒を製造することができ、醸造したての果実の風味が豊かな新しいタイプの清酒も手に取ることができました。
ワインの世界はワイン業界だけで成り立つというのは過去のもので、世界中にはまだまだ沢山の応用できる技術やノウハウが埋もれていることでしょう。
そうした種をワインの畑で育てることで更なる
高品質のワインが生まれる事が楽しみです
最後までお読み頂きありがとうございました
#旭化成 #クロスフロー濾過 #ノーベル賞 #ワイン醸造
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