シルバラードヒルセラーズ 2000 カベルネソービニヨン part6
一般的にナパヴァレーは夏から秋にかけて
昼間は燦々と照らす太陽の下で30℃を超えます
しかし、夜間はサンフランシスコ湾から吹き付ける冷涼な空気で冷え込み、その中でカベルネ・ソーヴィニヨンはすやすやと安眠できムダなエネルギーを浪費することなく育ちます。
一方、内陸部の温暖なエリアでは夜間も温度が
下がらずブドウはエネルギーを奪い取られて酸やタンニンを蓄積できなくなります。
また、赤ワインの品質で要となる赤い色素は
アントシアニンというタンニンの一種ですが、
これも温暖な栽培地では果皮に蓄えられる量が
減ってしまいます。
難しい植物生理学などは一寸置いておいて基本、
ブドウの気持ちは人間と同じで、暑くて寝苦しい
熱帯夜は安眠できず、良い仕事ができないものと
考えれば腑に落ちます。
また、赤ワイン原料用ブドウの品質を大きく左右
するのに、栽培地の水はけの良さというのが大い
に関係しますが、谷間の形をしたナパヴァレーの丘陵地は水はけが良く最適な条件です。
一般的に、ワイン用原料ブドウは生食用ブドウに比べ、根に沢山の酸素を必要とします。
土が濡れて根に充分に酸素が行き渡らないと、
ブドウはヘソを曲げて肝心な色素をつくりだす
サイクルが止まってしまい、色素の薄いブドウに
なります。
また、土が水を多く含むとブドウの実が太りすぎて果皮が薄くなり色素やタンニンの割合も下がり、また風味も水で薄まるので凝縮感の少ないワインになります。
こう考え出すと、結構難しいかもしれませんが、
ブドウの樹をお母さん、ブドウの実を赤ちゃんと
考えれば理解するうえで簡単です。
水はけが悪いとお母さんは水が沢山あるので、
ブドウの樹は遊び放題で伸び放題となり、
養分はどんどん樹が育つ成長点へ送られます。
しかし、水はけが良いとお母さんは水が無くなる
危機感でストレスを感じ始め、自分の成長点を
犠牲にしてまでも、種を残すために赤ちゃんへ
養分を送ります。
赤ちゃんであるブドウの実には種をのこすための
種子があるので、その周囲の果実は風味が凝縮
され良質なブドウになるのです。
残酷なようですが、植物は皆この原理をもとに、
棚田や果樹園でも、植物に適度なストレスを
与えることで種子をもつ穀物や実は美味しく
育つのです。
こうして、ナパヴァレーは理想的なカベルネ・
ソーヴィニヨンを育むとともに、もう一つ、
世界でも希にみる幸運な条件が重なるのです。
その葡萄を使ってワインの仕込みが出来るなんて、当時の環境がいかに恵まれていたのかが
よく分かります。
このシリーズは、ここで一旦終了です。
又、タイミングを見て続編を書いていこうと
思います!
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