YouTubeオンラインセミナー 報告 Part3 大分 安心院(安心院)編


8月6日に最終回を迎えた第3回YouTubeオンラインセミナー。
このご報告をするにあたり最終回の内容をもう一度記載しております。


第3回目 8月6日(木)19:30~21:00
テーマ: ~日本ワインのニューウエイブ~
<広島 三次(みよし)、熊本 菊鹿(きくか)、大分 安心院(あじむ)>


ご報告のPart3として、本日は大分県の安心院エリアに関してまとめていきます。
「~日本ワインのニューウエイブ~」 大分 安心院(安心院)編


九州、国東半島の付け根に位置し、北に周防灘を望む宇佐平野、中心を流れる駅館川と、その上流の津房川が形成した扇状地です。 山から川の流れで運ばれた礫質の土壌が堆積した平野と、川に表土を削られ岩が露出した丘陵地は保水性に乏しい。「平野はあるものの、水はなし」と言われ、古来より、水を確保して穀物を育てられる権力者がこの地を治めました。 その代表的な一つが、全国の八幡神社の総本宮 宇佐神宮、その荘園の倉院としておかれのが「安心院」です。


九州のなかで唯一の瀬戸内性気候を有する安心院は、内海の影響で温暖な気候とともに、年間の降水量が1,600㍉前後と低い。また山肌の影響で昼夜の寒暖差から発生する霧が深く、カリフォルニアの海岸に近い気候をしめします。


古代からの取組むによる水の確保が、近代では、国営総合農地開発事業「駅館川地区」へ発展し、今では大分一の穀倉地帯とともに、西日本最大のブドウ栽培地帯です。この地に2001年に創業した安心院葡萄酒工房、その歴史は1974年に発売された安心院ワインで、さらにその源は1958年に3社の清酒蔵が共同で設立した三和酒類まで遡ることができます。


三和酒類は「下町のナポレオン いいちこ」で有名な麦焼酎では全国一のメーカーで誰もが知る会社です。三和酒類の類い希なベンチャー精神と徹底的な商品設計の強さは、今でいうベンチャーとも呼べる、大分県特有の進取の精神とも捉えることができます。


米麹をベースに造る麦焼酎であった長崎県の壱岐焼酎とは一画をなす、大分の麦味噌文化で培った麦麹を採りいれた大麦100%の大分麦焼酎を開発し全国的なブランドに押し上げた底力は、醸造技術者集団の結晶が成せる技でしょう。


ワインのグラン・クリュにおいて、古来より三大要素である「気候、土壌、地勢」というのが影響するのは当然ですが、そこに栽培と醸造の技術、そして完成したワインへの正当なる評価が加わり完成されることは、時折忘れられることもあります。 言うなれば、ブルゴーニュやシャンパーニュなども、何百年に渡り培われた酒造りの技があってこそ、完成したワインになったのです。


安心院葡萄酒工房のスパークリングワイン造りは、収穫年により台風の通り道でダメージを受ける恐れのあるリスクをヘッジするため、高い酸を有する、早い生育期間での収穫により、あたかもシャンパーニュ地方のように冷涼なブドウ栽培の北限でブドウが完熟できないエリアで収穫されるブドウに類似した環境を設定し、さらに徹底的に設計された醸造技法で、繊細かつバランスの優れたスパークリングワインを生み出すことに成功しました。


その品質は日本ワインコンクールでの部門最高賞6回という実績を積んでいます。日本全国のライバル生産者が、安心院の受賞ワインを徹底分析し挑んでくる中での複数回の受賞は、自らの基準を常に刷新して高いステージを目指す企業がもつ風土でしょう。


それに向けて、行われる技術の研鑽にも目を見張るものがあります。現在の醸造責任者の古屋氏は、私がナパヴァレーのワイナリーで責任者をしていた時代に、現地のU.C.デービス校に留学しておられ現地で数回お目にかかったことがあります。また、古屋氏の部下となる若手も、オーストラリアなどで留学や研修を受けています。人を育て、技術を育て、ワインを育てるという酒造りのプロ集団だからこそ成せる、素晴らしいワイングローワーズ活動だと感じます。


瀬戸内を望む宇佐市は、日本一の麦焼酎生産量を誇る場所であり、また日本に一の壜内二次発酵ワイン生産量を誇る場所でもあります。壜内で緻密なまでに二次発酵を行ったワインは、酵母とともに壜内で最低3年間熟成されるという、ビンテージシャンパーニュ同等の熟成期間を経て酵母滓が除かれて製品化されます。


また、スパークリングではないスティルワインでも、ブルゴーニュの樽発酵を踏襲した製法で造られたイモリ谷シャルドネも数々の金賞を受賞するクオリティです。技術者が惚れ込むワインとして、精巧なF-1や機械式腕時計のような品質を放つ安心院葡萄酒工房のワインこそ、瀬戸内テロワールが生んだグラン・クリュと言えるでしょう。


セミナーでお話しした下記のワインは、安心院のスパークリングワインは、熊本の川上酒店様にもあるようです!是非、実際に味わって安心院の世界観を堪能されては如何でしょうか?ロゼに関しては、直接お問い合わせください!


3回にわたり、お届けしたワイン王国主催「日本のグランクリュ」オンラインセミナーは、終わりましたが又、新たな企画などもお届けできると思います。


セミナーを受講頂きました皆様、ワイン王国のスタッフの皆様ありがとうございました。
これからもエノログ目線のセミナーをお届けしようと思いますので今後ともよろしくお願い致します。

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エノリューション

代表の川邉久之は、カリフォルニア、ナパバレーにて15年間ワイン醸造に携わり、国内ワイナリーのコンサルタント、醸造責任者を経てワイン醸造技術士として独立。日米30年以上のワイン醸造経験を生かしたワインに関わる問題解決と発展を使命として活動中。

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