教えることは学ぶこと、北海道編(Ⅱ)
8月20日~22日の日程で北海道で活動したご報告のPart2を書いていきます。
8月21日の『北海道ワインアカデミー』の後、十勝地方の池田町に移動しました。
池田町は日高山脈を越えた帯広市の東、札幌より約200㌔に位置し、十勝川と利別川が形成した河岸段丘の地で、1963年に地方自治体によるワイナリーとして日本初となる『池田町 十勝ワイン』が発祥した地で知られ、同社は1974年に立てられた『池田町ブドウ・ブドウ酒研究所ワイン城』として西洋のお城を思わせる十勝地方の観光名所となっています。
池田町ブドウ・ブドウ酒研究所ワイン城の写真
十勝の夏は30℃を超える暑い気候ですが、冬期はマイナス20℃を下る低温が続く寒冷地帯です。そのため、十勝ワインでは会社の設立以来、地元に生えていたヤマブドウ(ヴィティス・アムレンシス)を中心に交配した『清舞』、『山幸』という独自のブドウ品種、またセイベルというフランスの交雑種を選抜した『清見』を中心にワイン造りを行ってきました。『清舞』と『山幸』は、ヤマブドウ由来の耐寒性から冬期も力強く生存しますが、フランスに起源をもつ『清見』は、十勝ワインの建つ場所の地名から付けたにも関わらず、冬期は土でブドウを覆って寒さから守ってあげないと春に芽が出ないそうで、本州では考えられない辛抱強いブドウ栽培技術が求められます。
この地にワイン事業を興したのは、十勝町長であった丸谷金保氏です。1952年(昭和27年)の「十勝沖地震」と、翌年から2年連続の冷害による凶作により大きな被害を受けた池田町に新しい産業として、丸谷町長は地元に古くから生息していたヤマブドウに目をつけ、ワイン造りを思い立ったそうです。
そして、1963年(昭和38年)に全国の自治体で初となる「酒類試験製造免許」を取得してワイン造りをはじめ、今の十勝ワインに到ります。その間、1964年にヤマブドウで造った「十勝アイヌ葡萄酒」が『第4回国際ワインコンペティション』で銅賞を獲得、またスタッフを国内外の大学などの教育機関で研修させるなど技術の研鑽に勤しみました。
さらに、今現在でも、新たなブドウの品種交配への研究を継続させ、未来への足掛かりを着実に築いていらっしゃいます。
2020年、新たにリニューアルオープンした、ビジターセンターは古い製造場のデザインを残しつつ、近代的な空間に生まれ替わり、またレストランも十勝平野と遠くに日高山脈を一望できる景観と、池田牛など地元産のグルメ素材を中心にワインとのマリアージュが楽しめ、年間23万人ほどの来場者を誇ります。
センターの一角には、池田町が生んだもう一人の超有名人、「Dreams Come True」の吉田美和さんのホールと、そのブドウ畑があり、ファンの方々には十勝ワインと合わせた聖地巡礼の地となっています。
そのセンターの片隅、丸谷町長の紹介とともに座右の銘
『慌てず 焦らず 諦めず』
に目がとまりました。
私がナパヴァレーで勤務した時代、生産者組合の会合などでシルバーオークの故ジャスティン・マイヤー氏などが話していた『ワイン事業は長期的ワイングローワーズで短期的なワインメーカーズにあらず!』という構想と重なり、改めて心に響いたフレーズでした。
多くの新規ワイナリーが起業し、かつコロナ禍の現在において、最も大切なフレーズと思いメモに刻み、一番のお土産としました。丸谷町長、再びとても大切な事を思い出させて頂き大変勉強になりました。ありがとうございました。
こうして2泊3日と短い日程でしたが、日本のグランクリュの一エリアでもある、北海道を
訪れる機会に恵まれました事を心より感謝しています。
本日も最後までお読み頂き誠にありがとうございました。
#池田町ブドウ・ブドウ酒研究所ワイン城 #シルバーオーク #ジャスティン・マイヤー #Dreams Come True #北海道ワイン
0コメント