北海道訪問報告 Part3

栗澤ワインズ(KONDOヴィンヤード、ナカザワヴィンヤード)

実地講習のラストは、岩見沢市栗沢町の栗澤ワインズを訪問しました。


ここは、農事組合法人という事業形態で、KONDOヴィンヤードを運営する近藤良介氏とナカザワヴィンヤードを運営する中澤一行氏が、パートナーとして法人化された珍しい形のワイナリーです。


近藤氏と中澤氏、お二人のワイン造りに対する哲学やスタイルは、全く異なりますが、それぞれのお考えが生かされたワイナリーの設計です。


特徴的なのは、ブドウをそれぞれの畑で栽培し、収穫後に除梗する際はキッチンの壁などに収納用に使うネットを木枠にはめて、それにブドウの房を押し付けて転がすことで除梗する昔ながらのスタイルを採用し、ブドウの圧搾には伝統的なバスケットプレスが採用されていました。


こうすることで、手間がかかり効率を犠牲することになりますが、ブドウへの負荷がも最も低く、また機器を導入するうえの初期投資を最低限に抑えられるので、新規ワイナリー設立者には参考になるものと映りました。


また、醸造所を斜面に設立することで、1階と2階での落差を応用したグラヴィティーフローを利用できることや、太い木を伐り出した薪を使用した薪燃料ボイラーによる床暖房など多くの部分に知恵が注がれています。


聞くところによると、お二人は醸造所設立までに前出のブルース氏の10Rワイナリーで委託醸造を行い、ワイナリー設計に伴う多くの知見を養ったそうです。


近藤氏は、クヴェブリの甕を多数使用しており、一部は北海道の窯元で作成したものも使用しています。そうした中で最も大切なことは、常日頃の衛生管理で雑菌汚染を防ぎ、そのうえで、初めて自然由来の微生物と対峙ができると説明されていました。


(クヴェブリの甕を説明してくださる近藤氏)



(右端が、ナカザワヴィンヤードの中澤一行氏)


山崎ワイナリー、宝水ワイナリー、10Rワイナリー、栗澤ワインズの醸造所では、それぞれ異なる個性が感じられましたが、基本となる衛生管理は徹底されており、そうした意味では北海道の生産者のレベルの高さが伺えました。


北海道のワイナリーの今後が更に楽しみです。

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エノリューション

代表の川邉久之は、カリフォルニア、ナパバレーにて15年間ワイン醸造に携わり、国内ワイナリーのコンサルタント、醸造責任者を経てワイン醸造技術士として独立。日米30年以上のワイン醸造経験を生かしたワインに関わる問題解決と発展を使命として活動中。

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